2022年04月09日
南湖大山南峰−1
【写真説明】南湖山屋と南湖大山南峰との距離は約3.5`に過ぎない。加えて、その間の標高差は僅かに200b弱だ。最高点は、主峰方面と南峰方面の交差点で標高3,650b前後(右写真、2013年撮影、南峰方面は同写真右側に写るロープの渡された場所から、背後に写る鹿野忠雄特定の第10号カールをトラバースする。この交差点の指導標は「南湖大山−2」左写真)、主峰山頂南側直下となる。標準往復時間は5時間と聞かされていたが、当日の悪天候と筆者の体力の衰えの為に7時間弱を要した。三回目の南湖大山登山の5日間に渡る成果らしきものは、入山三日目のこの南峰との往復行だけだった。夜が明け明るくなって天候が落ち着く気配があれば出発を検討しようと云う申し合わせだったが、南湖山屋に寝泊りするハイカーの誰もが起きるのを躊躇する雨音が止む気配な無く、天候の回復期待値は下がるばかり。従来の筆者ならあっさり諦めるのだが、筆者の一箇月分の給料を越える賭けをした、恐らく最後の南湖大山群峰登攀の機会、このまま引き下がれるかどうか?山小屋の外では猛烈な風が轟音を奏でる中一晩悶々とした。ガイドの英断に感謝するしかない。とにかく出発し南峰の頂上を踏み無事戻って来たのだから。筆者の手持ちのデジカメは雨でぐしょぐしょ、重たく嵩張り、兎に角全天候下に於ける機能性を考慮するとスマホの独り勝ちだと今回もつくづく実感した。シャッターを押す機会が極端に制限された南峰行だったが、その中から選択し三回に渡る投稿で紹介することにした。今回は本年の実際の南峰行を紹介する前に、2013年行の際、南峰を明らかに意識して撮影した二枚(左・中央写真)をアップしスタートする。左写真は前回投稿記事の中に埋め込んだパノラマと同地点からの望遠。中央写真は、同じ角度から何枚も撮影しブログにもアップしたが、それらの中で南峰が最も大きく写り込んだもの。前回2013年時の南湖大山行時の快晴は奇跡としか言い様が無い。単に確率の問題、或いは運・不運の問題として容易に受け入れ難かった今回の悪天候、今でも妙な拘りから逃れられない。(続く)
2022年04月23日
2022年05月07日
南湖大山南峰−3
【写真説明】はっと息を飲むほどに美しい樹相が南湖大山主峰と南峰を結ぶ稜線を覆っていると云うのは錯覚だったのに気付いたのは下山後である。南湖池山屋跡地を後にして南峰への登山道が降り切って南峰への取り付きに転じるまでは、確かに樹林帯の中に登山道は拓かれているが、この稜線を形成しているのは大岩石群である。今回掲載した三枚の写真は樹林帯から間歇的に現れる岩石群を垣間見ているようなイメージになってしまったが、実際は、稜線を支配する連続する大岩石に迫られ看られているような塩梅だったはずだ。これは先に掲載した俯瞰図で明らかである。以上は復路で気付いたことで、稜線の恐らく豪快なはずの岩石群を撮影する機会を逸してしまった。筆者が撮影したかったのは各写真手前の樹木ではなく、その奥のおどろおどろしいばかりの岩石群だったのだが、悉く失敗した。そんな中、俯瞰図#33の「大岩盤」は取り分け印象的だったが、他にも同様な辺りを圧する岩盤なり岩石群はあったはずである。尚、「はっと息を飲むほどに美しい樹相」が立ち現れるのは特に今回紹介する区間に限られたことでは無いことを新たに再発見したのは、今回3回目の南湖大山行時である。1回目と2回目の間は約10年空いたが、2回目と3回目の間も同じくらいの時間が空き、各々失われたイメージが多いことを痛感した。2回目と3回目の記憶の空白については後述する予定だ。(続く)
2022年05月21日
2022年06月04日
南湖大山南峰−5
【写真説明】2004年、2013年に続く今年の三回目の南湖大山行に対し期待していたことは二つある。一つは南峰と巴巴山の二座に登頂し、台湾百岳五十座完登を達成したかったこと。五十座完登は今年三月に雪山山脈の大・小剣山に登り済ませているはずだったが、悪天候の為に登頂を断念したからだ。詰まり後二座だったのだが、南峰迄は辿り着いたとは言えもう一座残ってしまった。二つ目は南湖杜鵑(ナンコシャクナゲ)の開花に出遭うこと。昨年は暖冬の影響で台湾シャクナゲの開花は一箇月以上前倒しになり、五月初日、慌てて玉山の登山基地塔塔加(タータカ)に車を走らせたのだが、完全に花期を逃してしまった。今年は逆に、三月中旬は南湖大山の開花には早過ぎるのではないかと云う不安があった。結果はナンコシャクナゲ、ニイタカシャクナゲ共々、標高大凡3,200b以下の地点では既に開花が始まっていた。左写真は今回の南湖大山行中、登山道脇で初めて目にしたシャクナゲ、ニイタカシャクナゲ、一昔前はモリシ(森氏)シャクナゲと呼んでいたかもしれない。標高は2,900b付近。中央写真は審馬陣山屋への三叉路付近に一株華麗なナンコシャクナゲの喬木(写真埋込)(低木)がありその中から開花したものを撮影した。標高は約3,200bで筆者の今回の山行の時期の開花最高点ではないかと思われた。ナンコシャクナゲはニイタカヤマシャクナゲに比し丈が低く喬木が常態かと考えていたが、中央写真より高度を上げた地点で撮影した右写真で見るように、ナンコシャクナゲも灌木化しているものがあるのを今回認識した次第。同写真に写るまだ未開花のシャクナゲ、手前に写る笹を除き写真の下から上まですべてナンコシャクナゲである。さて、南湖大山南峰カテゴリーを閉じるに当たり、筆者の二回目山行の記憶が大いに脱落していた部分を紹介しておく。二回目山行時もこの脱落、ギャップがあったことは既に具体的に前述したが、三回目山行時も相変わらず同様の記憶のギャップに苦笑いする始末。以下のコメントを分かり易くする為にこのダイヤグラムを埋め込んだので参考にして欲しい:
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