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俯瞰ダイヤグラムには白「姑」の漢字を使ったが、筆者の手元の地図帳の表記に従った。偶々同山岳の陸地測量部の点の記を眺めていたら「狗」の表記になっていた。筆者の印象では現在の台湾では「姑」の使用が支配的だと思う。
今回俯瞰図を作成するに当たり苦心したのは、白姑大山を含む白姑大山連峰の位置をどう読者に理解して貰えるかであった。前回の閂山もそうだが、現在の日本人には全く馴染みの無い百岳の一座の稜線のみを強調しても意味が無いと考えたからだ。中華民国山岳協会に依ると白姑大山を含む山域は中央山脈に属する。そうすると中央山脈の最も西側の支脈で大甲渓を挟んで雪山山脈南部と対峙することになる。と云う表現も可能だが筆者の手元の市販地図では白姑大山から八仙山に連なる南側稜線には雪山山脈の表記が附されている。と云う具合に白姑大山連峰の位置は定義し辛いと云うのが筆者の印象だった。それ故、下山後もこの中央山脈支脈の位置付けが不明瞭のままだった。明瞭になったのは前出の八仙山を始めとする所謂「谷関七雄」を完登した後である。白姑大山の紹介を終えた後、続けて台中市が市民健康増進の為に毎年キャンペーンを撃っている谷関七雄も紹介する予定である。
中央山脈の西端で雪山山脈南部と対峙していると云うような表現は、グーグル・マップとかグーグル・アースで位置を特定する際役に立たない。やはり自動車道、それも幹線自動車道を手掛かり足掛かりにするのが良い。この方法だと西は彰化市街地と東は花蓮県新城を結ぶ中央山脈越えの中部横貫公路(中横)西側大甲渓に沿った段と、埔里盆地から清境農場を経て合歓山群峰に駆け上がる通称中横霧社支線とに囲まれた山域であり、南は雪山山脈南端に繋がり北は合歓山群峰に繋がるというような表現が良いかもしれない。
台8線は台湾有数の河川と云うより渓谷沿い、台14号支線は台湾自動車道最高所まで登るので両道路は大きな標高差があり、勢い台14号線から白姑大山連峰を眺められるということであり、これに気付いたのは白姑大山登山後である。
何故この山を目指したかはもう記憶に無い。考えられるのは、単攻を試みる猛者がいることを聞いて組し易しと思ったのかもしれない。筆者の場合、山中二泊して漸う下山した。
白姑大山登山のベース基地は台湾の著名な野趣温泉の一つ、紅香温泉である。ここではこれ以上のコメントは省く。今後の話題に欠ける場合、別途紹介するかもしれない。この温泉に至るには三本のルートがあると云う理解でいる。一つは中横霧社支線の霧社を起点とし清境農場の西側急斜面山腹を力行産業道路本線伝いに下降する方法、二つ目は同じ台14号甲線を更に翠峰迄辿りそこから付いている同産業道路支線を一気に下る方法である。いずれの方法も急勾配、狭路、蛇行のオンパレードで筆者の運転技術では叶わず、G博士の弟に運転を任せ二番目のコースを選んだ。もう一つの方法は梨山から南下するコースである。以上が白姑大山登山の前哨戦とは謂え、印象的な山行の一部となった。
二番目の印象はやたら倒木が多い事、即ち体力の消耗が激しく、それ故筆者は二度との登りたくない百岳の一座に加えてしまった。
三番目の印象は、二泊した白姑大山連峰稜線上の露営地から山頂迄の間は針葉樹林の連続であったこと。標高により針葉樹の植生帯は変化していくのだが、当時は針葉樹に対し植物学的な知識無し。最後は台湾冷杉(ニイタカトドマツ)の純林を抜けて頂上に到達するのだが、何を感じ取ったか写真だけは残っている。最近になり漸く台湾針葉樹のことを齧り出したので追ってもう少しコメント出来るかもしれない。
最後に、白姑大山連峰の雄姿を二枚の写真で紹介し今回の投稿を終える。一枚目は当時の山行途上、上述の翠峰から紅香温泉に直接下降する中途で撮影した(2013年2月撮影)。連峰を東側から撮影した形になり、紅香温泉、そこから農道を車で辿った先の登山口を含む当時の登山コースが全て写り込んでいる。同写真の下方、農家らしきものが集合した大小二つの尾根が見えるが、その内の右側細い尾根(その尾根下の集落が紅香温泉)を稜線まで辿り稜線に出たら左側(南側)に折れ最高点(最奥稜線最も左側ピークで雲が掛かっている)まで至ると云う具合に登山コースそのものは単純だ。二枚目は霧社市街地南側の高台、森林三角点のある高峰山頂上下から北西方向になる、写真最奥右端の稜線である白姑大山連峰を遠望(2019年10月撮影)、同写真左側の山塊は守城大山。
白姑大山「連峰」と云う単語を使っているが、具体的には;東峰(3,036b)、中峰(3,049b)、池山峰(2,957b)、東南峰(3,035b)、(主峰:3,342b)、三叉峰(3,202b)、西峰(3,251b)、西南峰(3,171b)と云う調子で、同じ稜線が八仙山国家森林遊楽区まで繋がる。同一山名下にこれだけの表記上の峰を従えた山岳は恐らく台湾唯一であろう。筆者が踏んだのは東南峰と主峰のみ。(終り)
2021年06月19日
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