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私がこのブログの為にアップしている台湾百岳一覧表では、八通関山の序列は第66座、標高は3,245メートルである。私の手元にある市販地図では、まず山名が八通関大山になっており、且つ、3,245メートルの標高を持つのは八通関山西峰である。それで何処で提供されている台湾百岳一覧表が「正式」か?と考え直してみて、中華民国山岳協会の一覧表を確認したら、同じ経建3版のはずなのに、第45座に繰り上がっており、標高も3,335メートルになっていたので、従前のエクセル一覧表に一枚ワークシートを「中華民国山岳協会版」として追加しておいた。という具合に退屈な説明から入らせていただいた。
八通関大山は、玉山(3,952メートル)山脈と峰続きに中央山脈最高峰の秀姑巒山(3,806メートル)の分岐点に位置するだけに目立たない。台湾の歴史とか山岳に興味があれば、八通関は良く耳に入ってくる地名だが、さもなくば、一般の台湾人にも馴染みの無い地名だ。
他方、私にとっての八通関はその響きが大きい。八通関=台湾近代を代表する歴史そのものである。初めて「八通関」なるものをこのブログ記事で目にした読者諸氏には、私の別ブログ『台湾古道』の「八通関古道」段を通読していただければ嬉しい。八通関に対する愛だけが横滑りし、記事そのものは面白くないという方には、私が「台湾古道の巨人」と読んだ手っ取り早く纏めた『日経ギャラリー』の記事が適当だと思う。使われている写真もそうそう悪いものではない。
私は最近、弊別ブログ『台湾古道』の「蘭嶼−12」でこう書いた;
「目立たない特定の山の在り処を確認する最上の方法は其処にとにかく登ってみることである。至極当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれないが、鉄則である。一つの山に四方八方から登るわけにはいかないし、大体そんなに登山道が付けられているのは余程低い山である。どの登山道でもよいからとにかく登る。山容というのは富士山みたいな特殊な高峰を例外として、大概は見る場所で山容は千変万化するが、一度頂上に立ってしまえば、不思議と云う他無いが、どの方向から眺めても、その山を特定出来るのだ。」
八通関大山には確かに登った。しかし、当時殆ど土砂降りに近い状態、西峰への稜線を探したりした記憶はあるが、とにかく頂上では三角点の写真が一枚残るのみ。実は未だに混乱状態だ。僅かに、陳有蘭渓南端に覗く三角峰が視認出来るという実体験+知識のみである。
因みにこの三角点は森林三角点、日本時代の遺物である。国土地理院はこの三角点を継承していない―というより、元々陸地測量部の三角点ではなく、台湾総督府殖産局山林課埋設のものである。台湾の山頂でその基点に「森林」の文字を確認したらそれは日本時代の遺構だ。
玉山山脈は、台湾最高峰を擁するにも拘らず、台湾の五大山脈―北から、雪山、中央、玉山、阿里山、海岸―の中では最短と説明される。以前は、玉山山脈は中央山脈と一緒にされていたが、既に日本時代に別山脈と断定されている。その分岐点は実際歩いてみても特定するのは難しいが、八通関はその分岐点上にある。そう、陳有蘭渓南端に覗く三角峰という表現をしたが、同渓の源頭は正に八通関だ。
その八通関の東側に連なる峰が八通関大山、この稜線は、中央山脈最高峰の秀姑巒山に繋がる。
何か同じことを繰り返し記述してきたような気がするが、八通関に対する私の思いは、『台湾古道』の同段に集約されている。従って暫くは八通関か八通関大山か、判別し難い記事が続く可能性がある。(終り)
2013年07月27日
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