【写真説明】左写真は、これも新高山連峰の絶好の展望所の一つである麟趾山(2,854メートル)山頂から望む東埔山。その手前の小山山腹左側に写る建築物はタータカ・ビジターセンター、台湾では最高所にあるビジター・センターだ。中央写真は、新中央横貫公路(通称「新中横」、省道21号線)脇にある東埔山登山口、頂上までの距離は僅かに800メートル(下掲右側写真の林務局設置の里程標参照)。右写真は、東埔山頂上、同写真右奥に写るのは、西巒大山(百岳92号、標高3,081m)。
東埔山は、半時間程で誰でも簡便に登れてしまう上に、ぐるり360度、新高山連峰、中央山脈最高点、阿里山山塊を含む豪快な景観を、もし誰も周りに居ないとしたら、文字通り独り占めである。
特に、新高山連峰に対峙する距離的な近さでは一番、この台湾一の高峰が眼前に迫る。十二分に台湾小百岳の選定基準を満たしていると思われるに選定されなかったのは、都市近郊というクライテリアが邪魔したのではないかと思う。新中横脇に登山口を持つので、アクセスの便利さでは申し分無いのだが。
ところで、「東埔」とはブヌン族トンボ社の漢音訳、「同富」の漢字も充てられ、東埔山とは別に同富山も存在し、登山口も新中横脇にあるのだが、未だに探し出せていない。
阿里山方面から新中横を車で走ると、まず、タータカ登山口駐車場、タータカ・ビジターセンター入口、その次が東埔山登山口、登山口前にちょっとした駐車スペースはあるが、タータカ登山口駐車場に車を停めて徒歩で登山口に辿り着ける近さだ。
三角点ハンターにとって、東埔山頂上は面白い場所だと思う。日本時代の「三等三角點」(5019號)と、国民政府によって埋設された「聯勤補三等三角點」(内補358號、新中横十三號基石2782、中華民國六七年一月聯勤測量隊)が並立しているからだ。両者を二つながらに眺めると、国民政府が何者かの一端を垣間見れそうなぐらいに、基石の仕上がりが余りにも異なるのだ。下掲左写真が、三等三角点、中央写真が連勤補三等三角点。(終り)
【関連する記事】