2011年02月05日

「台湾百岳」について−7:「単攻」

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【写真説明】「五嶽一奇」の奇莱山塊の豪快な山容、奇莱南峰(3,358m、第40座)頂上から望む。中央部が主山(3,560m、第20座)、その左の尖峰が北峰(3,607m、第16座)、さらにその左の一段低い頂が屏風山(3,240m、第62座)である。いずれの峰も「単攻」の対象である。

「単攻」という言葉が台湾の山仲間ではよく使われる。「単」は単独よりも簡単に近い意味か?「攻」は文字通り、攻める。日帰り可能な山は無数にあるが、単に日帰り山行を指す言葉ではなく、あくまで対象は台湾百岳である。しかも、私がこれまで紹介してきたような日帰り可能な百岳というのは、あくまで普通の体力と意志を持ち合わせた人が日帰りで登山口と頂上を往復出来るような勾配と高度を持ち合わせた百岳という意味である。

前置きがな長くなったが、台湾の「単攻」とは、常識人は山中一泊或いは二泊が必要な百岳に、日帰りで攻め上がり駆け降りて来る山行を指す。北大武山(3,092m)や玉山(3,952m)は依然からそのような超人が存在することは聞いていた。最近、雪山(3,886m)すら単攻の対象になっているというのを知り愕然とした。台湾のネットを覗いてみたら、奇莱北峰(3,607m)も「単攻」の餌食だ!何とも凄いというか、その体力と動機には敬服するしかない。例えば、写真説明で挙げた屏風山の場合の山行時間(休憩時間を除く)は15時間以上とされる。

上掲の山頂へ至る稜線上には夜の雨露を凌ぐべく山小屋が設えてある。北大武山の檜谷山荘、玉山の排雲山荘、雪山の七カ山荘と三六九山荘、奇莱に至っては、黒水塘山屋、成功山屋、奇莱一号堡、奇莱山屋と豊富だ。稜線の延長に応じ山中泊を考慮したものであるが、非凡な単攻者はこれらの施設を敢えて無視して掛かるわけである。

そこまでやって山に登る意味が本当にあるの?と言いたくなる人も多かろうが、他人の動機は尊重すべきである。ただ、このような普通の人にとっては無茶としか思えない山登りの弊害は、睡眠不足、過度の疲労から引き起こされる自動車事故のリスクの高さだ。これは大きな迷惑だ。

日帰りとはあくまで登山口と頂上との往復である。登山口に深夜から早朝に立つ為には夜通しの運転か、極端に短い睡眠時間を余儀なくされる。登山口に陽が暮れてから戻り、又、長駆、車の運転を繰り返す。そこまでやる理由、仕事に追われ、ゆっくり山を歩く時間がないからとは単純に言えそうにない。

重装で時間を掛けて歩くか、軽装で走るか?エネルギー保存の法則みたいに両者実は消耗する運動量は同程度かもしれない。なら、感覚的には後者を選びたくなるのは歳のせいだろうか?(了)
ラベル:台湾 台湾百岳
posted by 玉山 at 00:00| 台北 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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