2009年08月29日
卑南主山−5:鬼湖(石山秀湖)
【写真説明:写真はクリックして拡大】左写真は石山への登山道口近くから見下ろした鬼湖。湖沼対岸の後方の山は渓南山。中央写真は湖畔に下りる途中から望んだ鬼湖。左写真は湖畔から石山方面の水面を見る。ご覧のように枯木が湖水に浸った景観がこの山中湖泊の特徴である。Google Earthのダイヤグラムで鬼湖と渓南山、石山、卑南主山の俯瞰を試みた。左写真は北側からの俯瞰だが、ダイヤグラムは南側からの俯瞰。
行政院林務局の「自然資源与生態資料庫」の中の高山湖泊には15箇所がリストアップされている。高山湖泊に相当する日本語が判らない。標高2,000メートル以上に位置する湖沼を林務局は選定しているのだが、その意味する所は、要は流れ込む川、流れ出す川を持たない云わば密閉された山中の湖沼ということだと思う。但し、実際その定義は正しくないはずだ。いずれにしても、台湾山中のこうした湖沼に辿り着く為には、今でも相当苦労しなければならない。日本時代、これら湖沼はコロンブスのアメリカ大陸発見よろしく、「発見」の対象になった歴史を持つ。
その内、唯一例外は、通称「天池」と呼ばれる南横(南部横貫公路)沿いにある湖沼で、南横西段の観光スポットである。長青祠という南横建設時の殉職者を祀った廟の上にある。この廟の長い階段を少し我慢して登れば誰でも行き着けるので、相当汚染されている。神秘性を湛えた山中の湖沼というわけにはいかない。
因みに、台湾最高所の湖泊は標高3,310メートルに位置する嘉明湖、南二段の三叉山(百岳26号、3,496m)の麓にある隕石湖である。これについては追って紹介する予定である。
台湾中央山脈最南部に鬼湖の名を持つ山中湖泊は三つあり、北から順に鬼湖(高雄県桃源郷)、大鬼湖(高雄県茂林郷)、小鬼湖(台東県卑南郷)と通称されている。パイワン族・ルカイ族により古来神秘の湖とされていたのが「鬼」の呼称の故で、この場合の「鬼」は「鬼斧神工」の鬼に通じるものだと思う。その中で最も小さいものが石山秀湖、渓南鬼湖である。
この湖は前回紹介した石山、渓南山登山口から降りていく道路が付いており無理すれば湖畔まで車で降れる。従って、ゴミだらけではないかと心配していたのだが、山中湖泊の名に恥じない佇まいを残しており驚いた。石山林道への入山管制が厳しいのが功を奏していたのだが、凡そ五年前の話である。南台湾ではいまやサイクリストの間で非常に人気の高い石山林道支線沿いにある為、今はどうなっているか?前述の天池の運命を辿らぬよう祈るのみである。(続く)
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