2009年07月18日

卑南主山−3

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【写真説明:写真はクリックして拡大】南一段主脈に西側から突き当たる稜線に出ると、ひときわ高い峰が見えて来た。左写真は見事な台湾鉄杉越しに見る卑南主山北峰、或いは西北峰。最初はこれを目指す卑南主山と勘違いしひたすら登った。中央写真は主脈直下の断崖越しに望む北峰。右写真は、関山へ繋がっていく南一段主脈東側である。片方が断崖、片方が笹の草原を従えたこのような地形学的構造が台湾山脈の一大特徴である。

さて、日本経済新聞国際版アジア・オセアニア地区の隔月刊行の付録雑誌「日経ギャラリー」に私の「台湾古道」の連載が始まった。連載と言っても三回の予定である。その第一回目の最終ゲラを上げる前に、編集者のS氏から、「台湾には三千メートルを越える山は優に二百座を超えると云われる」という表現ではなく、「越える」と言い切って下さいと言われた。実は、何処かで誰かが書いているのを覚えていて、その後、事ある毎に私はその表現を使ってきたわけで、自分自身で調査したとか、きちんとした根拠ありげなリストを見たことがわるわけではなかったのだ。それでもS氏の注文に即答したのは、私なりの根拠があったのだ。台湾百岳に指定された山岳の傍には殆ど言っていいほど、基点は無くとも、東、西、南、北峰とかの名前のある頂があるので、百岳各一座が仮に一座でもそんな無名峰を有していると仮定すると、二百座は簡単に超えてしまうと考えていたからだ。

やはり世の中には奇特な方はいるもので、きちんと台湾の三千メートル峰全部をサイト上で公開していた。しかもお膝元、その名も「高雄市百岳登山協会」である。何と258座というのがその答えである。これには文句の付け様がなく、私はこれからは、優に二百を超えるなどという曖昧な表現ではなく、約二百五十座である、と言うことにする。

因みに、三角点を持つ台湾の三千メートル峰は76座しかない。

何故こんな数字遊びみたいなことを卑南主山の記事の中で書くかというと理由がある。台湾百岳に指定されているのは一等三角点を擁する卑南主山一座だけなのだが、卑南主山の周りには、三千メートル峰が幾つかあり、この百岳を語る人により名前が変わってしまうようなのだ。で、私自身その三角点を踏んだ前後で、それら無名峰のうちの幾つかを踏んだか、少なくとも見たかは判然としない…要は、どうも三千メートル峰の幾つかはいかがわしいというより、台湾の山を誇りたい一心で、必要以上にその数が膨らんでいるのではないかとすら思えてしまう。やはり、地形図を正とするのが一番いいのだろうが、今そのサイトは一般の閲覧には供していないようで、市販の地図を参考にするしかない。

試しに、高雄市百岳登山協会のリストと私が手元に持っている市販のガイドブック上の地図に記載してあるものをざっと比べてみると、どうも三千メートル峰の水増し臭いのである。

[高雄市百岳登山協会リスト]
卑南主山:3,295m
卑南主山北峰:3,267m
卑南主山西北峰:3,230m
卑南主山西峰:3,030m
卑南主山東峰:3,050m

[市販ガイドブック]
卑南主山:3,295m
卑南主山北峰:3,235m
卑南主山西峰:3,120m
卑南主山南峰:3,185m

加えて、この市販ガイドブックの地図はこれらの山はすべて三角点を有していることになっているが、これは明らかに間違いである。(続く)
ラベル:台湾 台湾百岳
posted by 玉山 at 00:00| 台北 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 卑南主山(第50座:3,295m) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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