2009年06月27日
卑南主山−2
【写真説明:写真はクリックして拡大】三枚の写真は午前5時から5時半に掛けて撮影されたものである。左から時間順に並べてある。左写真と右写真は恐らく違う場所から同じ方向を望んでいる。真ん中が、卑南北山に連なる稜線下から、南一段稜線を望んだもの。左右写真の、写真左の山は小関山(65座、3,249m)、右奥の一番高い山が関山(12座、3,668m)、その関山と小関山の間に写る最高点が、海諾南山(77座、3,175m)。実は、これら写真に写る小関山を私は長いこと庫哈諾辛山(85座、3,115m)と勘違いしていた。今回ブログに記事を書くに当り、グーグル・アースで確認していて間違いに気付いた。
当時、石山工作站から南一段稜線に出るまでの歩行時間をどう読んでいたかは記憶が定かではない。ここで稜線というのは卑南北山のことで、ここが露営地になっている。石山工作站から卑南北山まで辿る登山道が南一段登山道と交わり、そこから暫く南側に歩を進めると卑南主山に至り、交叉点から北側に辿るのが本格的な南一段の縦走路になる。
その卑南北山まで辿るに5時間ぐらいで大丈夫ではないかと高を括っていた。ネットの山行記録を見て多分そのように予想したのだと思う。今改めて中華民国登山協会作成の南一段行程表を見てみると、この間510分の表記がある、8時間半である。最初からこのような行程表を手にしていれば、相当覚悟して登り始めたはずだ。
夜10時、土砂降りの中を工作站を後にする。丁度夏至である。多分翌日は晴れという天気予報を確認していたはずである。暫くは、蛇行する廃棄された産業道路をショートカットする形で付けられた登山道を辿る。両側から萱が覆いかぶさってくる、何しろ土砂降りである。雨だけ受けているのであればまだいいが、同時に萱を伝って滴り落ちてくる雨も同時に受ける。全く惨めである。行けども行けども、南一段に突き当たる尾根の稜線に出れない。夜、しかも雨が降ってしまうと、草、笹が光ってしまい、登山者の踏み跡が判り辛くなるものだが、実際、一箇所笹の海の中で立ち往生してしまった。朝になるのを待つという方法もあったが、台湾の夏至と言っても、何しろ、ずぶ濡れである。寒い。兎に角ひたすら登り続ける。時計をしきりに見ながら溜息をつく、予想していた5時間をはるかに過ぎたのに稜線らしきものになかなら辿り着けないからだ。
雨が止んだのは四時過ぎである。暫くして、南一段の稜線を遠くに確認する。空が白む、確かに快晴になりそうだ。それでもほっと出来ない理由があった。標高そのものに起因する寒気である。卑南北山露営地の標高は2,900メートル近くあるので、空が白み始めた五時前後には2,500メートル付近を彷徨していたに違いない。とにかく、太陽が出るのをひたすら希う。夜10時からこの時間までの7時間、途方もなく長い時間だった。もう同じことをやれと言われても最早無理である。(続く)
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