▲[←俯瞰図はココをクリック]
台湾中央山脈南一段縦走という場合、通常は卑南主山と関山(12座、3,668m)との間の縦走を指す。そして、標高の関係で、北側起点の関山から南側起点の卑南主山へ向かって歩かれる。この間、五泊五日が標準とされている。
この縦走で踏まれる台湾百岳は、庫哈諾辛山(85座、3,115m)→関山→海諾南山(77座、3,175m)→小関山(65座、3,249m)→卑南主山の順である。「庫哈諾辛」、「海諾南」は山名としては奇妙な印象を与えるが、各々ブヌン語を日本統治時代「ウハノシン」、「ハイノトーナン」等表記していたものを中国語音訳したものである。更に、小関山と卑南山との間には二座の三千メートル峰、雲水山(3,013m)と馬西巴秀山(3,022m)がある。現在この南一段の脊梁に沿って、西側高雄県、東側台東県の県境を形成している。ダイヤグラム中の灰色の線はこの県境である。南一段の判りやすいイメージを出す為に、卑南主山南西上空から中央山脈南一段北方向のダイヤグラムを作ってみた。
北側登山口は、通称「南横」、台湾を代表する山岳自動車の一つ、南部横貫公路(省道20号線)沿いにあるので便利だ。この登山口を起点とした往復だけを考慮すれば庫哈諾辛山は日帰りが可能な百岳である。
他方、南側登山口は厄介だ。高雄県六亀を経由して藤枝森林遊楽区に入る。嘗ては京都帝国大学の演習林の一部だった場所だ。ここが石山林道の起点になっているが、まずその林道を車で15キロ程辿り、その先は林道が崩壊しているので歩くこと一時間強で、林務局の通称石山工作站、作業小屋に着く。ここが登山口(下山口)で、入山(下山)時間によってはこの小屋で寝泊り出来る。
従って、北側から縦走してこの作業小屋まで辿り着いた後、重装備で一時間ぐらいは我慢して歩けてもその後さらに林道を15キロも歩き通すのは無理である。通常は予め車を手配しておく。今は携帯があるから便利ということになる。
尚、前述の藤枝は東海道五十三次の一宿、ここら辺りの経緯にご興味のある方は私の別ブログ「台湾古道」の中の「六亀特別警備道」をご覧になっていただきたい。
最後に、「卑南」とは卑南渓下流域、現在の台東市を中心とする一帯の古名である。(終わり)
2009年05月16日
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